第1問 営業秘密という無形の「情報」を「盗んだ」としても、有形の物体を盗む場合とではだいぶ様相を異にする。刑法上の窃盗に該当しないだけでなく、民法709条による被害者への民事上の救済では不十分な点があり、本文で掲げた条文は後者への手当てである。たとえば美味しいと評判のラーメン店にとってスープの製法は営業秘密である。もしライバル店が深夜にそっと忍び込んでスープの中をのぞいたとしよう。

つづく