また丼を盗まれたのなら丼代を賠償してもらうだけで損害の決済が完了するが、情報を盗まれた場合には損害を精算した後も、加害者側の頭の中にその情報が利用可能な状態で残存することがある。そのため3条では、民法709条が損害賠償請求権のみを認めているのとは異なり、差止請求権も認めている。ただしこれらの法も、ラーメン店にスープの製法の情報の独占を認めてはいないので、ライバル店が似たスープを独自に開発することは止められないし、またライバルが客としてその店のラーメンを食べることでスープの製法を推測して「味を盗む」ことも禁止はしていないので、他者の努力の成果へのただ乗りも完全に抑止されるのではない。ごみ箱を漁ってだしがらを確認することは「不正の手段」であろうか?

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