IV. 第1審裁判所と上訴裁判所との権限配分の問題。陪審判断を第1審裁判官は不当とは考えなかった。上訴裁判所は現実に証人尋問をみておらず、訴訟記録のみに依拠。第1審裁判所の「法律問題としての判決」に関する判断は、観念上は文字通り法律問題なので上訴裁判所を拘束しない。しかし陪審評決が証拠上どの程度支持できるかということで事実認定と密接に関連。原判決破棄の場合でも、実際に証拠調べに立ち会っている事実審裁判所の差戻後の再考を尊重する選択肢も必要。裁判官のみによるトライアルでの事実認定、new trialの許否、証拠法の問題、に関する第1審判断に対する上訴判断基準との対比。第1審での証拠の採否に関する判断を上訴審が破棄したことに伴う「法律問題としての判決」の可能性も指摘できる方がいたらすごい。